君と僕と正月

 カコン。カコン。
「げー。オレぜってー身長差だと思うんだけど……」
 ナルトががっくりと、うなだれる。
「オマエ、いなかった間に背、伸びたじゃない」
 数メートル先にはカカシがいて、地面に落ちた羽根をナルトに拾うように顎を動かした。
「拾うってば! ちくしょー」
「はいはい。飽きたっていったのはナルトだからなぁ……」
 お約束のように羽根突きの羽根を落としたら、墨で顔を染められる。
 カカシは脇に置いていた、筆と墨壺を手にした。


 そもそもの話は、小一時間ほど前にさかのぼる。
 カカシの家で、だらだらだらだらとしていたナルトが、
「もう飽きた!!」
 と言い始めたのがきっかけだった。カカシは、滅多にないゆっくりとした新年を迎えているのが、ナルトと一緒ということも相まって嬉しかったし、これ幸いとだらけた正月を迎えていたのだが、ナルトは飽きてしまったという。
 もう、正月番組は見飽きた!! と、ナルトは怒ってしまった。
 人混みのなかに出る気のさらさら無いカカシは、そんなナルトに、
「じゃあ新年らしい事でもしようか?」
 と持ちかけた。
 それが、羽根突きだった。
 どこからかカカシは羽子板と羽根を持ってきて、ナルトと始める。
 人通りの少ないカカシ宅の付近の路上で始まったこの対決は予想通り、カカシが優位に立ち、ナルトは顔を黒く染められた。
 で、冒頭に戻る訳である。
「ナルト、オマエねえ。身長差って言っても、変えられないじゃない……」
 呆れてカカシがそう言うが、
「イヤ、オレ変えられるってばよ!」
 と、ナルトも強気に出る。
 地面に羽子板を置いたナルトが、印を結ぶ。
 カカシはいやな予感がする。が、それは大命中だった。
「お色気の術!!」
 ぽふんとあがった煙の向こう、このクソ寒い中、全裸美少女が立っていた。
 グラビアアイドルのようにポーズを取るナルトにカカシが額をおさえて、その場にうずくまる。
「アホか……全裸じゃダメでしょーが……」
「ええー!? 背が高くなったじゃんか!」
 普段よりも高くなった声で、ナルトは拗ねてみせる。
 姿勢はそのままに、カカシは手をヒラヒラと振って、
「元に戻りなさいよ……」
 と、呆れかえってナルトに言った。
「えー! ハンデくらい、くれてもいいんじゃね?」
 ナルトはそういうが、カカシには素っ裸でいることがハンデなのか、身長差がハンデなのか分からなくなっていた。
「だ、妥協案でなんか着ないか?」
 ぴょんぴょんと跳びはねる度に、揺れる胸元が悩ましい。
 別にカカシもどんな人間が、全裸で歩いていようがいまいが気にならない。
 気になるのは……ナルトだからだ。
 変化であっても、ナルトが全裸でいることが許せない。
 自分の浅ましい独占欲が頭をもたげる。
 全く寒さも感じさせないナルト(変化)の手首を強引に掴んで家に連れ戻す。
「先生、なにするんだってばよっ!」
「その姿でもいいから、せめてなにか着てよ」
 振り返りもしないで、カカシは手首に力を込めてナルトを引っ張る。
「おわっ……」
 強引に引っ張られるナルトは、カカシにつられてそのままいったん家へと戻された。
「先生!!」
「ナニ?」
 一段と低い声に、ナルトはカカシの不機嫌さを知る。
「その姿でいるなら、今から着るもの出してくるから座ってろ」
 ソファを指さされ、仕方なくナルトは変化を解かずに座る。なんとなく、置かれているクッションに手を伸ばして抱きしめてみる。
(……先生、ナニ考えてるのかよくわかんねーってばよ)
 カカシは普段使うことのない、奥の部屋に引っ込んでしまった。
 ナルトに訪れる、気まずい間。
(…………)


 しばらく待つと、カカシはなにか紙にくるまれたもを持って出てきた。
「しばらく出してないから着れるか分からんが、ナルトは今日はコレを着るなら変化したままでいいよ」
 ソファにそっと置かれたそれは、白い紙にくるまれたものと、色とりどりのもの。
「先生、コレなんだってばよ?」
「んー。振り袖」
 置いた振り袖を、たとうしから取りだした。
 中に入っていたのは紅色の振り袖。
「……先生、男なのにこんなの着るの? 女物だよなあ??」
 ナルトが声のトーンを落としてカカシに問いかける。
 男の、ましてやひとり暮らしのカカシがこういった物を持っているのが、ナルトには不思議だった。
 そんなナルトの不思議そうな顔を見て、カカシが口を開く。
「コレね、昔母親が着たらしいんだな。まあ、しまいっぱなしだった訳だけど。あ、着付けくらいなら俺でも出来るから安心してね?」
 それと、草履その外もあるから。と付け足したカカシは早速ナルトの着付けにかかる。
「ちょ……先生、そんな大事なモノ、ダメだってばよ!」
「しょうがないでしょ。好きなコに着せてあげたいと思ったら、オマエしかいなかったんだから」
「へ?」
 ナルトが固まっていると、そのままカカシは器用に着付けてしまった。
「ぐえー腹キツイ……」
「そりゃあそうだろうなあ……思いっきりしめたから」
 さらりとカカシは非道い事をいいつつ、ナルトに羽子板と羽根を握らせた。
「さ、続きするぞ〜」
 カカシが手を握って外に飛び出す。
「お、おわあああああ」
 引っ張られたナルトがつまづいて、声をあげた。


 コン。
「そりゃー!」
 大きく空振りしたナルトは身体をひねった所で停止。
 カカシが脇に置いていた筆を持ってじりじりと近づく。
「身長差、埋めればいいんじゃなかったのかなー??」
 にやりと笑いながら、カカシはナルトの太腿を撫でる。
「ぎゃ! どこ触ってんだってばよ!!」
「オマエが悪いんでしょー。せっかく着付けてあげたのに、大股でいるんだから……」
 裾よけも、襦袢も通り越して露出した綺麗な脚を、カカシはすっと撫でた。
「!!」
 たまらず、ナルトがぶるりと震える。そんなナルトに、カカシが耳もとに唇を近づける。
 簡単に結いあげた髪は耳を覆うこともなく、首筋から後れ毛が何ともいえない。
「ココ、やっぱり弱いの?」
 そっと囁かれた声に、ナルトの身体が大きく揺れて過剰に反応した。
「う〜」
 そっと撫で上げる。
 その間にぬるっとした感触が通り過ぎる。
「ハイ、ナルト羽根落としたから墨ね。着物につくから、動いちゃダメだよー」
 にこやかにカカシが答えて、ナルトの身体が凍り付く。
「せ、せんせーのバカー!!」
 動けないまま、太腿の大きなばってんをさらして、ナルトが叫んだ。
「バカでいいよーだ」
 ……でもね、ナルトにこんなことしていいのは、俺だけだから。
 そう付け足し、墨が乾いているのを確認すると、ナルトを抱えあげた。
「もう外出してあげない」
──俺だけに、全部見せてよ──
 低い声でそう囁いた。


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Path of Paradoxのちはやノスリさまよりフリー小説拉致。
身長差にムキニなってるナルトが超可愛いvv
うはーそして、えろいなあ! 羽根突きに飽きたら姫ハジメもね!
ああん、この後エロイ事突入ですね?!
続き読みたーい!!

おにはち

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