暗殺戦術特殊部隊

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暗殺戦術特殊部隊

「お久しぶりです。ホムラ様、コハル様・・・」

「四代目、変わりないか?」

「はい」

木ノ葉隠れの里、ご意見番である老雄の入室に、深々と頭を下げた四代目火影。

ここは火影邸、三階にある第二会議室である。

水戸門ホムラはポンと四代目火影の肩を叩くと、会議室のご意見番席へ腰を落ち着けた。

うたたねコハルも又、ホムラに並び席に着くと、目の前に置かれた資料を手にし「うむ・・」と唸った。

四代目火影が中央の席に落ち着くと同時に、会議室のドアが開き、再び老雄の登場。

「すまぬ・・・少々遅れたか」

三代目火影は、一言四代目火影に声をかけると、すぐ側に居並ぶご意見番二人に手をあげてみせた。

「さて・・・それでは・・・」

三代目火影が四代目火影の隣に腰を下ろすと同時に、木ノ葉隠れの里、火影邸第二会議室に美しい澄んだ声が響き渡った。

「ではこれより暗殺戦術特殊部隊人員選考会議を始めます」

   

   

   

最大勢力を持って忍五大国の治安すら治めていると言っても、決して過言ではない木ノ葉隠れの里長、四代目火影。端整な顔立ちで伏し目がちに机の上に並べられた書類に目を通すその姿は、傍らに神妙な面持ちで控えている老雄をも魅了する。

「・・・・皆さんのお手元にある資料。これが今回の候補者です」

書類から一旦顔を上げると、四代目火影は満足気にニコリと微笑む。

資料を手にし、ホムラ、コハル、三代目火影が視線を落とした。

カサリ、カサリと、それぞれ手にした資料を捲る様子を、四代目火影はしばらく黙って見ていた。

「・・・・・・・・・よろしいですか?」

三人が一通り資料に目を通した事を確認し、四代目火影は口を開いた。

「ふ・・ム。なるほど」

三代目火影が白く艶やかな髭に触りながら四代目火影に視線を移す。

火影同士、通ずるものがあったのであろうか。

二人はニヤリと口の端を歪ませると頷きあう。

「では。総勢10名。最初から行きます。」

四代目火影はキリリと顔を引き締めると、その透き通った声を会議室に反響させた。

   

    

四代目火影は手元の書類の束に手を伸ばし、一枚一枚神妙な面持ちで紙を捲る。

「NO.5・・・・うちはテッカ 22歳」

四代目火影の言葉に、向かいの席に座っていたホムラが顔の前で手を組んだ。

「警務・・・部隊ですか・・・」

ホムラの隣に腰掛けているコハルがチラリとホムラを見遣った。

「どうだい?」

「うぅむ・・・・・そうだな・・・警務部隊と言う事ならば、任務は十分こなせそうだ」

「しかし、すでに22歳・・・」

ホムラ、コハルの言葉に、三代目火影が眉を顰めた。

「確かに、こやつは22歳。しかし歳の事を言うなら、今回分隊長候補である、はたけカカシも21歳だぞ?」

三代目火影の言葉に、今度は四代目火影が眉を顰める。

「ちょっと待ってくださいよ・・・カカシは別物です。皆さんそれは良くご存知でしょう?」

「まぁ・・そうだな。はたけカカシは・・年齢云々関係無さそうじゃ」

気のせいだろうか。

そう言うコハルの頬が若干桃色に染まっているように見えるのは・・・

「しかし、どうじゃ?ご意見番よ・・」

「却下じゃな」

三代目火影の問いかけに、ホムラが即答する。

「右に同じじゃ」

コハルも頷く。

「では、うちはテッカ・・・彼は不合格・・・っと」

四代目火影は、うちはテッカの資料へ、バンと大きな音を立て、不合格の印をついた。

「では次。NO.6、うちはイタチ」

カサカサと三人が資料を捲り、同時に「うっ!」と声を上げたまま固まってしまった。

皆、資料に貼り付けられている、うちはイタチの写真に見入った。

「・・・・うちは・・イタチ・・・立派になったの」

三代目火影がポツリと呟く。

「でしょ?」

四代目火影がニヤリと微笑む。

「これは又・・・逸材じゃの」

コハルが再び頬を染めた。

「若干12歳で・・・この・・・」

ホムラがゴクリと唾を呑んだ。

「いかがですか?今回の目玉ですよ?」

三人の反応に満足気な笑みを湛えながら四代目火影は椅子の背凭れにどっしりと凭れ掛った。

ホムラ、コハル、三代目火影は顔を合わせると頷き合った。

その様子に四代目火影の口元もフッと緩む。

「皆さん同じご意見のようですね?」

三人は四代目火影に一斉に視線を送る。

「決まりじゃの!うちはイタチ・・こやつは暗部分隊長になれる器じゃ!」

「全くじゃ・・・・」

「・・・・もっと資料は無いのか?うちはイタチの・・・」

四代目火影は三人の言葉に頷くと、傍らに置かれた印を手に取った。

「ごうかっく」

本日初めて。

「合格」の印が、うちはイタチの書類に落とされた。

「それでは・・うちはイタチは暗部入隊決定と致します。来年度、分隊長候補として・・・」

「異例の出世じゃの。一年後と言えば13歳。13歳にして暗部分隊長とは・・・」

「来年が楽しみじゃ」

四人、それぞれの顔が綻んだ。

「では次・・・・No.7・・・マイト・ガイ」

「・・・・・・ガイ・・・か・・・・」

「うむ・・・こやつは暗部には向いておらんと思うがの?」

「確かに。こやつでは・・・・」

「即決ですね・・・では、マイト・ガイは脱落・・・と・・・」

ガイの資料に不合格の印が押される。

「では次・・・暗部分隊長候補に、はたけカカシ」   

再び三人は手元の資料をハラリと捲った。

すでに暗部に所属して数年のはたけカカシ。

目の前の資料にも、本人の写真が貼り付けられているが、三人は実物の姿を一様に頭の中に思い描く。

   

   

暗部。

正式名称「暗殺戦術特殊部隊」

   

  

「さすがじゃの。はたけカカシ・・・」

「うむ。こやつは全く年齢を感じさせん」

「全くじゃ・・・・・」

        

  

”暗殺” ”隠密”と、特殊かつ高度な任務を請け負う精鋭部隊

一流の忍の暗殺集団

術者のスキルがモノを言う

    

   

  

「相変わらずいい男じゃ・・・」

「うむ。この肩のラインは又なんとも言えんの・・・」

「似合いすぎじゃ・・ノースリーの暗部服・・・」

    

     

・・・・・ハズである

   

  

「肩のタトゥーが又・・セクシーじゃの」

「ほれ、この僧帽筋から三角筋にかけてのライン・・・これがそそるんじゃ・・・」

「うむ。萌えるのぉ〜・・・・」

「腰のラインもセクシーじゃの・・・どうじゃ?四代目。今年からもう少し暗部ベストの丈を短くしてみては・・・」

「それはいい!どうじゃ?四代目」

「・・・・・いいですね!早速発注しましょう!」

四代目火影は書類の余白に、

”暗部ベスト丈、5cmカット”

と、嬉しそうに記入した。

   

  

「さて、次は・・・女暗部部隊ですが・・・」

「なんじゃ。女か」

「ああ、女部隊はどうでも良い。興味が無い。適当に合否はおぬしが決めておけ」

「じゃ、女性は今回一人しか候補がいないので、ごうかっく・・・っと」

バンッ!

合格印が資料に貼り付けられている写真の顔目掛けて下ろされた。 

  

  

「では次。不知火ゲンマ」

「・・・・・・・コレもまた・・・・」

「ええのぅ・・・・」

「このイヤラシイ目つきがセクシーじゃの」

「こら四代目!肩のラインが出た写真は無いのかの?!」

「おいおいホムラよ・・肩のラインが見えずとも、このルックス!絶対損はさせんと思うぞ?」

「いや、待て・・・こやつは私のモロタイプじゃ・・・暗部に入れてしまうのは惜しい。どうじゃな?四代目よ・・特別上忍として、常に火影の傍らへ置いておくというのは・・・そうすれば私もいつでも拝めるんじゃがの・・・」

「コハル様はゲンマくんのようなタイプがお好みでしたか。いいですよ?それじゃゲンマくんは・・・特上・・・っと」

   

   

  

木ノ葉隠れの里

”暗殺戦術特殊部隊”

選ばれる彼らに必要なモノは忍としてのスキルでは無いらしい。

ただ必要なもの。

それは”ノースリーブが似合うイイ男”である事。

こうして今年も又、ノースリフェチ達により、うちはイタチが暗部入りを果し、より一層磨きがかかって美しく成長したはたけカカシが暗部分隊長に選ばれた。

一通り入隊候補者が決まると、ノースリフェチ達はしばし毎年恒例となった萌え談議に花を咲かせ、頬を上気させたまま解散した。

   

   

  

   

後日・・・・・・・

   

   

  

「嫌です!」

「どうして?」

「暗部分隊長なんて・・・ノースリーが似合うかどうかってだけでしょ!?大体あんた達のお陰で、オレは寒い雪の国へ任務に行くのもノースリーの暗部服にマフラーで・・・すっごくすっごぉ〜く寒い思いしたんですから!その上何ですか?丈を短くする?冗談じゃない!オレはもう嫌です!あんた達が何と言おうと、暗部辞めますから!」

「ええっ?!カカシ!待って!辞めないで!カカシの肩のラインは誰よりも萌えるんだよっ?!」

「嫌です!今日限りオレは抜けます!」

  

   

どこから漏れたのか暗部選考会議の内情がカカシに知られてしまい、カカシは暗部から綺麗さっぱり足を洗った。

  

”暗殺戦術特殊部隊”通称”暗部”

秀でた一流の忍だけが選ばれるのだと、憧れる忍は少なくない。

果たして里の治安はルックスだけで守れるのであろうか。

幸先不安な木ノ葉隠れの里であった。

   

   

  

end

  

  

  


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カカナルサイト「鬼八」の管理人おにはち様がネタ提供者でございます。
お話している時にふと話題になった暗部服。暗部はノースリーの似合うのが条件で写真選考から始まるとw
そこから話が広がってしまいました。
それ小説にして下さいとお願いした所パスされてしまいました。
パスし返したんですが・・・アタックで叩き込まれ、挙句こちらからのアタックは
ブロックされてしまいましたw

そうしてできあがったのがこのお話。
だから言ったでしょう。
私、ギャグは書け無いんすよ(泣)
おにゃ、ごめんよぅ〜(泣)

2005/10/13

うず拝
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まじありがとーvv
がっつりいただきました! やっぱうずたんに書いてもらって大正解! 私じゃこんなに面白くかけません!!
腹抱えて笑いましたwええ。
アタックしてブロックして本当によかったなと本当に思ってます。

そうか。特別上忍はそんな理由で……。

本当に本当にありがとう! 嬉しい!

おにはち
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