バルドルートの半年後、バルドの宿屋設定。
「おい、何時までそうしているつもりだ」
ベッドでぼんやりと佇むアサトにライは着替えながら声をかけた。
のろのろとした動作でアサトが色の無い瞳をライに向ける。
一向に動かないアサトにライは仕方なく取って置きの呪文を唱える。
「コノエにばれるぞ」
コノエの名前を出せばアサトはどんな時でも、どんな台詞でも反応する。案の定「コノエ」と名前をつぶやいて起き上がろうとしたが、へたりと崩れてしまう。
「…・・・コノエはきっと俺を嫌いになる……」
「あの馬鹿猫がお前を嫌いになるなどありえん」
昨夜脱ぎ散らかした服を拾い集め、ライはアサトをベッドに腰掛けさせ服を着せてゆく。
おとなしくアサトは服を着せられ、悲しそうな顔でうつむいていた。
「俺は……汚れてしまった……」
その言葉にライの手がぴたりと止まる。アサトがいぶかしんで顔を上げようとした瞬間、力強く頬が両手で挟まれぐいと顔を持ち上げられる。
「好きな猫同士が交尾して汚れる訳がない。馬鹿猫が」
強い口調で言われてアサトはほんのり顔を染めた。
初めてライの口から「好き」と告白されたからだ。
