■出会い
数日過ぎた頃校庭で遊んでいると職員室の窓から副担任が身を乗り出してナルトを呼ぶ。
「おーい。ナルトくーん!」
不思議そうに首をかしげて副担任の元に行くと、ニコニコと笑って一段高い窓からナルトを見下ろす。
「ナルト君。お待たせ。君の担任を紹介するわ」
そういて、脇にどけると奥から男が一人現れた。
「!…セン…」
カカシ先生! そう言った筈なのに声がかすれて上手く出てこない。もう一度無理やり出そうとすると激しく咳き込んだ。
「無理しちゃ駄目よ。たなか先生。こちら、転校生の不知火ナルトくん。ナルト君、こちらがあなたの担任のたなかカカシ先生よ」
そういって、副担任はかっこいいでしょう? と片目をつぶると。何言ってるんですかとカカシにつっこまれた。
口布もない。両目もそろってる。髪も黒い。なのにたなかカカシは、はたけカカシにそっくりだった。名前も似ている。声はたなかカカシの方が少し低かった。
「んー、君がナルト君? はじめまして」
眠そうなもったりとした話し方。言い回し。似ている。
「手術して声が出ないんだって? いいよ。ゆっくりで。焦らず行こう」
そういって微笑む顔はカカシそのもので、思わずまじまじとナルトは見ていた。
先生たち何やってるのかな。
七班の事が急に気になり、ちりりと胸の奥が痛くなった。きっと、ナルトが居ない方がスムーズに任務をこなしているだろう。そう考えると、自分が七班にとって要らない人物の様な気がして切ない。あわてて、そんな事はあるはずないと首をふる。。
「あ、先生! もう大丈夫なの?」
クラスメイトがわらわらと寄って来る。ナルトは少々複雑にたなかカカシを見つめいていた。カカシとそっくりなカカシではない人物。
そうだ。帰ったら自慢しよう。
ナルトは思いつくとニシシとたなかカカシに向かって笑む。
でも、そっくりでも、やっぱカカシ先生じゃないや。
どこがどうとは言えないのだが、ナルトは全然違うと思う。
たなかカカシははたけカカシそっくりな笑顔でナルトに微笑みかけた。