■会話
 まだ出来ない。
 髪も皮膚も内臓や筋肉まで揃えたと言うのにまだ足りない。
―もう少し。
 囁く声が聞こえる。
―大好きなアノ人が出きるまでもう少し。
―何が足りないのだろう。
 そう問いかけると、くすくす笑いながら答えてくれる。
―目だよ。目。
―ああ、あの空色の。
―そうそう。綺麗な蒼だったよね。
―ああ、凄く綺麗だった。
―捕って来なよ。
―盗るのか。
―そう。何時もみたいに。復活には多少の犠牲が付き物だよ。
―そうだな。
 リュックサックにナイフを入れて、ドアノブを掴んだ。
 笑い声はなかなか止まらない。

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