■接触
 夕飯の買出しを済ませたナルトは重い荷物を抱えて家路を急ぐ。今日はジャガイモと豚肉が安かった。家に人参とたまねぎがあったのを思い出してカレーにしようと献立を決める。任務についてから格段にナルトの料理の腕はあがった。今まで食べれるものがつくれればいいと思っていたのだが、一緒に住む人が反応を返してくれると、嬉しいやら腹が立つやらでその度につくる事が嬉しくなってくる。
「ナルトくん?」
 名前を呼ばれてどきりとして、振り返る。見知った笑顔に思わず驚いたが、担任のたなかカカシだとわかるとああそうかと納得して、笑顔を返した。
「買い物の帰り? 凄い荷物だね」
 クラス担任は大まかな雰囲気もカカシに似ていた。似ていたが、口布がないせいか、どうも違和感を感じる。
 時間は正確でイチャパラは読まなくて面倒見がよい。そういうところは違うのだが、なんとなく他はカカシに似ていた。似ていたがやっぱり別人で。ナルトはそっくりだなとは思うが、カカシだなとは思わない。
 ナルトはこくこくと頷く。ひょいとたなかカカシの背中を見ると大きなリュックが背負われていた。
「今から帰るところ」
 リュックを持ち上げナルトに見せる。随分くたびれた鞄だと思いながらちららりとリュックに目をやる。
 カカシと全然違うのだなとナルトは微笑んだ。
「手伝おうか?」
 たなかカカシの申し出にナルトは首を横に振る。近々授業参観がある。この間そのプリントを持って帰ると自来也が興味深そうに眺めて「お、面白そうだの。行ってみるか」とナルトに向かって言ってくれたからだ。生憎とゲンマは仕事で忙しく行けないと嘆いていた。
―エロ仙人たち驚くってば!
 それまでたなかカカシの事は秘密にしておきたかった。カカシにそっくりな顔がまともな授業をしている所を自来也が見た時の反応を想像するとおかしくて、ナルトは悪戯を企てている時の笑顔を見せた。
「そっか。じゃあ、先生いくからな。がんばれよ」
 ぽんぽんと頭に手を置かれてナルトはどきりとした。カカシが良くやる仕草だったのだ。
 手を振って人ごみに消えていくたなかカカシの後姿を見つめながらナルトは七班の事を思い出していた。
―今頃何してるのかな。
 少し切なくなってしまう。

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