■思考
人生色々でカカシはじっくりとたなかカカシの写真を見ていた。先程出来上がったばかりのたなかカカシに関しての資料のコピーを見る。自来也が書いた物だ。
歳はカカシと一緒。生い立ちは平凡なもので、両親はそろって九尾が現れた時木の葉で巻き込まれ死亡。そのまま施設に入り、高校、大学を奨学金制度を利用して進学、卒業。二年前小学校の教員になる。
平凡な生い立ちだ。
特にこれといって目立つ事件も起こしたことはない。どちらかというと優秀な人間だ。
就職する前に整形をしたらしい。理由は就職する前の年に大きな事故に巻き込まれたからだ。この事件はかなり大きな事故だったのでまだ覚えてる。飲食店が爆発して、死者5名、重傷者17名という事故だった。爆発が原因不明だったので何処かの草(クサ)が入り込んだのじゃないかなどと騒がれていたからだ。クサとは隠語で間者の事だ。今では使われなくなったが、戦争中は草忍の事を皮肉って使っていたのだ。久しく聞いてなかった言葉にカカシは懐かしいなと事件当時思っていて、その事故を覚えていたのだが、当時囁かれていた噂は噂じゃなかったのかもねと改めて考え直した。
―消されたか。
事故に巻き込まれた振りをして当人を殺して、自分の顔をつぶしその当人に成りすますなどという事は忍者でも良くやる事だ。ひょっとしたら、何処かの国の忍者なのかもしれないが、だとしたら何故、カカシそっくりに整形しなければならなかったのか。
自来也は話の途中で火影に呼ばれていってしまった。あとから途中までだがという手紙とともにこの、たなかカカシの資料の写しが送られてきたのだ。
自分と同じ顔で人殺しか。
そう思ったが、カカシは彼以上に人を殺しているのだと思うとため息が出た。
―ナルトは何をされたのだろう。
大方こいつが殺した死体でも見せられたのだろう。
自来也でさえも吐き気を催すような。
「ふん」
気分が悪くなってカカシはテーブルの上たなかカカシの写真を弾じいた。