■真実
 火影室から開放された自来也がやっとカカシに話せたのは真夜中を過ぎた頃だった。人生色々には夜勤の忍者達がつめていたので昼間とさほど変わらない。
「そんな事が…」
 初めに目にした時の自来也に抱えられたナルトの姿を思い出す。
「たまたま、たなかカカシが忘れ物をして、それを届けた女教師が物音に気がつかなければ、ナルトは。わしは、餌を投げ与えたようなもんだ。気がつけばよかったのだ。被害者の特徴を聞いたときに」
 自来也は自分を責めてぎゅっと拳を握った。カカシは文句を言うつもりだったが、たなかカカシの心境もわからなくは無かった。もし、復活できると信じていたらの話だが。生憎とカカシはそんな夢は見ない。
 死んだ人間は元には戻らないのだ。
 カカシは自分の師を思い出して寂しく笑った。誰にでも優しい四代目。
「しかし、何で俺の顔そっくりに…」
 そこまで言ってカカシは立ち上がる。
「自来也さま! ナルトは何処ですか?!」
「お、いきなりどうした。医務室からは病院に移したと聞いたが」
 ソレをきくとカカシは走り出した。病院は結界が施されていて瞬身の術ではいけないのだ。
「どうしたのだ!」
 追いかけながら自来也がカカシに尋ねる。
「自来也さま、こういいましたよね。でも、犯人は一ヶ月の間に12人もバラしているんですよ! 普通の人間にできるわけ無いじゃないですか! もう一人いるんですよ! 医療忍者が! そいつをそそのかした犯人が!」

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